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怖い。 怖い。 怖くてたまらない。 巨大な一枚岩から『錬金』によって作り出されたテーブルを楯にしながら、 ギーシュは奥歯がこれ以上震えぬように噛み締めた。 その頭の上を、宿に押し入ってきた傭兵と思しき者たちの放った矢が通り過ぎる。 アルビオンに渡る最後の晩ということで、ほんの少し豪勢な食事を楽しんでいたところへの奇襲である。 さいわいにして杖代わりの薔薇の造花は身に着けていたが、反撃しようにも相手は魔法の射程外である。 そもそも魔法を放つために立ち上がろうとすれば、その前に弓で撃たれてしまう。 その危険性を考えれば、今のギーシュにできることはただこうして隠れていることだけだった 彼は軍人の息子であり、しかも今はアンリエッタ王女の勅命により秘密任務についている。 ならば怪我の危険はもちろん、命を失う覚悟とて出来ている。出来ていると思っていた。 禁止されてはいたが、魔法学院では何度も決闘した。 ワルド子爵に決闘を申し込まれた時も落ち着いて戦うことが出来た。 だが実際はどうだ。 一対一の決闘ではなく、徒党を組んで襲ってくる傭兵の姿を見た時、彼はただ恐れることしか出来なかった。 ギーシュは自分を笑った。 身の危険、死の覚悟。 とうに出来ていると思ったそれは実戦を知らぬ子供の夢想でしかなく、 いざそれが近くになればこうして机の陰で震えるしかないのかと。 「参ったわね。昨日、調子に乗って博打で尻の毛までむしったのが悪かったのかしら」 「下品。それにあれは勝負。逆恨みされる覚えはない」 「される覚えがないから逆恨みっていうのよ」 熱心に化粧を直すキュルケの横で、探るように辺りに視線を向けていたタバサが頬を膨らます。 彼女たちが宿に選んだ『女神の杵』亭は、かつてはアルビオン軍に対する砦でもあった。 故に壁も厚く、食糧の備蓄もあり、籠城戦を挑むには最適の場所である。 だがそれは同時に、一度内部に入られれば逃げ場のないことも意味する。 砦や城の常として抜け道の一つや二つはあるとは思うが、今からそれを探している余裕などないし、 なにより誰よりも宿に詳しいはずの主人が視線の先で青い顔をして座り込んでいる以上は、 その抜け道も機能しているかどうかすら怪しかった。 「こんなときまで化粧だなんて、ずいぶんと余裕ね」 ワルドと大猫とで両脇を固めたルイズが呆れたように化粧を続けるキュルケを見やる。 本当に状況が解っているかと今にもくってかかりそうである。 いつもと変わらぬルイズの態度に、しかしキュルケは抑えきれぬ恐れを見て取った。 大猫の首に回され、力の入れ過ぎで震える腕。白くなるほど握り締められた拳。 キュルケは頬を緩めると、どんな時でも虚勢を張ることを止めない大嘘つきの少女に化粧道具を差し出した。 「あなたも使う? ゲルマニアの最新の口紅よ?」 「なんでこんな時に化粧なんかしなくちゃいけないのよ」 「愚問ね、ミス・ヴァリエール。こんな時だからこそよ」 そしてゲルマニアの軍人貴族、火のツェルプストー家の息女は胸を張って艶やかに笑った。 「常に優雅さを忘れず、たとえ死んでも笑いながら逝くのがツェルプストーの女の生き様よ。 青ざめた顔で怯えて死んだりしたら、あの世でご先祖に申し訳が立たないわ」 「死してなお桜色」 横からタバサが手を伸ばし、少量の紅を自らの唇につけた。 そのまま唇を動かし、色合いを均等にする。 白皙の肌に散った朱が、妖精的な少女の美貌にある種の魔的な彩を添えた。 ルイズは笑った。 気がつけば手の震えは治まり、拳からも力が抜けている。 実にキュルケらしい遠回りな気遣いだった。 ツェルプストーである自分は死を覚悟した。ならばお前はどうだと言外に問うている。 夜会や舞踏会などでよく聞く遠まわしな賛美や嫌味などが大嫌いなルイズであり、 しかもそれを問うたのは大嫌いなツェルプストーの一族ではあったが、 それでも彼女はキュルケのその心意気を頼もしく思った。 「お生憎さま。ヴァリエールの女の死に様は、 美しく老いさらばえて、屋敷の寝台で、何人もの子供や孫たちに囲まれてだと決まっているのよ。 わたしの代で伝統を潰えさせるわけにはいかないわ」 キュルケもまたおかしそうに笑う。 自分の問いに、ルイズは的確に答えて見せたのだ。 自分は此処で死ぬ気はないと。 それでこそ、とキュルケは思った。 それでこそルイズ。わたしの好敵手。 「まぁ、子供についてはワルド子爵に頑張って貰うことにしましょうか」 「いきなり何を言ってるんだね、ミス・ツェルプストー」 とても戦場にいるとは思えぬ呑気なやりとりにワルドが思わず口を挟む。 その気持ちは誰も同じだったと見えて、 やはり机の陰にやカウンターの奥に避難している客や店員も呆れたような顔で少女たちの方を向いている。 その内の幾つかの視線、具体的に言えば店員の女性たちのそれを自覚したギーシュは、思わずと言う風に天を仰いだ。 参ったなぉ。 ああ、本当に参った。 ぼくは臆病者だぞ? 実戦なんて、一度もしたことがないんだ。 なのに、なんでなんだ。 相手は本物の傭兵で、一歩間違えれば死ぬかもしれないのに。 参ったなぁ。 こんなに観客がいると、ぼくは駄目なんだ。 かっこつけないと気がすまないんだ。 ぼくは馬鹿だ、大馬鹿だ。 そこまで考え、その唇に笑みを佩く。 まさになにを今更、だ。 ルイズ症候群に罹患した以上、馬鹿でない筈がないと、今朝方確認したばかりだと言うのに。 青銅の薔薇を額にあて、愛すべき彼の使い魔、ジャイアントモールのヴェルダンデに指示を出す。 もはや何も怖くはなかった。なぜなら彼はルイズ症候群の重症患者であった。 「いいか諸君」 気を取り直したようにワルドが低い声で告げた。 「このような任務は、半数が目的地に辿り着ければ、成功とされる」 「囮というわけですか」 ギーシュの確認にワルドは頷くと、自分以外の三人を指名し、囮として残るように頼んだ。 「軍ではこのような場合、自己推薦が基本なのでは?」 「君の父君や兄君がどうかは知らないがね、ギーシュ君。 僕は、そのようなおためごかしで自分の責任を軽くしようとする者を好まない。 およそ軍人であるのならば、指揮官はその部下に関する全責任を負うべきだ」 なにを思い出したのか顔をしかめながらのワルドの言葉に、 ルイズは彼がマザリーニ枢機卿のお気に入りだという事実を思い出した。 「なるほど、その姿勢は尊敬に値しますね、ワルド子爵。 しかし、囮の件は断らさせていただきますよ」 「ほう? なぜだね?」 「まずは一つ。相手の戦力の全貌がわかりません。 この時点での戦力の分散は、各個撃破の機会を相手に与えるだけです」 「確かに、その可能性もあるな」 やや悔しそうにワルドは認めた。 彼の案ではルイズと彼自身は裏口から脱出する予定だったのだが、 ギーシュの言う通りそちら方面に別働隊がいれば袋の鼠になるだけである。 「そしてもう一つ。 あるいはこれが全てといって過言ではありませんが」 思わせぶりに言葉を止めるギーシュに、机の陰にいる者たち全ての視線が集まる。 その視線を存分に楽しみ、彼は笑顔でその理由を口にした。 「簡単なことです。 友人を囮に使うなど、ぼくたちの趣味ではありません」 戦術的な見地からの提言だと思っていたワルドはその言葉に絶句する。 その様子に隣の机の陰にいた店員の一人が思わず吹き出し、 その笑みは瞬く間に客や店員たちに広まった。 ブータも満足げに喉を鳴らし、弟子の変化を喜ぶ。 自らの趣味で戦争を語るか。やれやれ、ギーシュも随分とあの一族に近づいてきたわい。 「確かにそうね、ギーシュ。 でもね、ここでみんな揃って玉砕なんてのもわたしの趣味ではないわ。 一体どうするつもり?」 周囲の変化を好ましく思いながらルイズが問うた。 店員たちも客も笑い、一時的にでも恐怖を忘れている。 確かにそれは一時的で、あと数秒も過ぎれば我に返って恐怖に押し流されてしまうだけのものではあったが、 だがそれでも、人々に一瞬でも笑顔を取り戻させたギーシュをルイズは誇らしく思った。 身に迫る危険と恐怖を抑え、人々に笑顔を与えた彼に共感を覚えた。 守るべき人々の一瞬の笑顔のために、貴族は何粒の涙を流し、幾度歯を食いしばるのか。 だがそれが、それこそが貴族の人生。誇り高き我らが生き様よ。 「決まっているとも、ルイズ。 撤退だ。敵の中央を駆け抜け、桟橋へ。 正々堂々、孫の代まで語り草になるだろう撤退戦だ。 まさに武門の本懐ここに極まれり、だ。 素晴らしいだろう?」 笑っていた客や店員たちの笑みが固まった。 あまりの答えに、思考が停止したのだ。 「前衛はタバサ、デルフリンガー、“地下水”」 「承知」 「へへ、やっと出番かい」 「おう、まかせといてくんな」 告げられた名前にワルドの眉が顰められ、どこからともなく聞こえた声に周囲を見回した。 彼はその名前を知っていた。裏世界で囁かれる姿なき暗殺者。ガリアを中心として暴れまわった傭兵メイジ。 だがなぜここでその名前が告げられ、しかもそれに答える声があるのか。 「撹乱はキュルケ。一発大きいのをお願いするよ」 「まかせて」 「殿軍はぼくが。ワルド子爵は不測の事態に備えての遊撃をお願いします」 「あ、ああ。承知した」 つい同意してから拙いとは思ったが、もう遅い。 思考を切り替え、ギーシュの作戦を聞くことにした。 姿を見せない暗殺者の存在は気がかりであり、よもや自分の企てにも気づかれているのかとも思うが、 今はここを脱出することに専念すべきではあった。 「ギーシュ、わたしは?」 ただ一人、役割を与えられなかった少女が尋ねた。 頭では解っている。魔法が使えず、タバサやワルドのように剣も持たぬ自分は、足手まといに過ぎぬのだと。 だがそれでも、ルイズはそれを認めたくはなかった。 しかし、それから目をそらすのはもっと嫌だった。 だからこそ彼女はギーシュに問うた。 足手まといだと、何もすることがないと言われるのを覚悟の上で。 そしてそれを言われた時の心の痛みを、不甲斐ない自分への罰とするために。 「ルイズ、君にももちろん役目があるとも。 それもこの中の誰よりも重大な役目がね」 その葛藤に気づかぬ振りをしながら、ギーシュはなんでもないことのようにそう告げた。 「檄を飛ばして欲しい。 それもやる気がみなぎるような熱い奴をよろしく頼む。 御伽噺の終わりが『めでたし、めでたし』なのと同じくらいに、 戦いの始まりには開戦の詔が必要だ」 なにしろと彼は笑い、後世の人々がギーシュ・ド・グラモンを語る際に必ず語るその言葉を唇に浮かべた。 「誇り高き独立愚連隊、我らがルイズ小隊の初陣だ。 隊長殿が訓示するのは当然だろう?」 ルイズは絶句し、やがて泣き出しそうな顔で微笑んだ。 一つ息を吐き、遠まわしに自分を守ってくれる友人たちに心の中で感謝する。 隊の名前に憤慨しながらも、それでもそれを黙認するキュルケ。 自分が泣きたい時、くじけそうな時、彼女の挑発が、その嘲りが、どれだけ自分を奮い立たせてくれたことか。 無言で剣を構え、ルイズの言葉を待つタバサ。 思えば、学院の同期生の中で、彼女だけはルイズを馬鹿にしなかった。 その存在が、どれだけ自分の心を安らげてくれたか。 薔薇を咥え、優しく見つめるギーシュ。 今まで自分を馬鹿にしてきた彼が態度を改めてくれた時、どれだけの喜びが心に刻まれたか。 心配そうにしているワルド。 ゼロの自分には勿体無いくらいの、強くて優しいわたしの婚約者。 あなたの隣に並べるようになるために。その思いが自分を強くしてくれた。 そしてブータ。 わたしの使い魔。異世界からやってきて、わたしにたくさんの贈り物をくれた優しい猫神。 「エステルヴァラオームイスラボート!」 タバサに握られた剣、デルフリンガーが唐突に言葉を発した。 ワルドはその声がどこから聞こえたかを察して驚き、それ以外の者はその言葉の意味に唇を綻ばせた。 「エステルヴァラオームイスラボート」 「エステルヴァラオームイスラボート」 タバサと“地下水”がそれを唱える。 それは神々の合言葉。 生まれた国も種族も違う神々が、互いに呼び合う誓いの言葉。 「エステルヴァラオームイスラボート」 「エステルヴァラオームイスラボート!」 キュルケが、ギーシュが唱和した。 余分な言葉は要らなかった。 彼らはただ一言のみを持って、ルイズが自らの旗印であることを高らかに告げたのだ。 「エステルヴァラオームイスラボート!」 ルイズもそれに答え、もう一度周囲を見回した。 心に浮かんだ檄文をもう一度胸の中で反芻し、訂正する。 ブータの名前を出すのはまずい。 自分の使い魔が猫神であることは、未だ仲間たちの中だけの秘密なのだから。 ならばと考え、別の机の陰やカウンターからの視線に気がつく。 それは願っていた。 それは望んでいた。 この状況をルイズたちならなんとかしてくれるのではないかと期待していた。 そこにはもはや恐怖はなく、むしろ物語の始まりを待つ子供のような色だけがあった。 ルイズは微笑み、大きく息を吸って、吐いた。 ブータに聞いた異世界の伝説が頭を過ぎる。 人々の涙を笑みに。 痛みを喜びに。 不幸を幸福に。 そのためにこそ何度でも立ち上がり、血を流し続ける誇り高き一族。 けして敗北を認めず、災禍を狩る災厄としてあしきゆめと戦う孤高の民。 いつか肩を並べ、その一翼を担いたいと夢想した戦士の名。 ルイズは胸を張り、いつかそこに加わる誓いとして、その名を持って開戦の辞となした。 「では始めましょうか、わたしの小隊。 あのならず者たちに、シバムラの戦い方を教育してあげましょう」 前に戻る 次に進む 目次
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アイカツオンパレード! 色 出演者 備考 黄色 - 水色 緑色
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マリー・ガラント号の甲板に立ち、ルイズは頬をなぜる風にそっと唇を緩めた。 上を見上げれば青空が広がり、おそらく舷側から見下ろせば雲の海が見えるだろう。 ギーシュとワルドから止められているのでやらないが。 一つ息をつき、腰に下げた空袋の位置を直す。 一般的な水袋の口を広げただけのそれは空を往く者たちの必需品であり、 もし気分が悪くなったのなら使うようにと船長から渡されたものである。 不思議そうにするルイズたちに説明したのはギーシュであった。 兄が空軍の艦長だと言う彼はこう見えて空には詳しい。 「海ならば舷側から身を乗り出せばすむし、万が一落ちても助かる可能性はあるがね。 ここは空だから落ちたら助からないし、下に誰がいるか解らない。 君たちだって、いきなり空から汚物が落ちてきたら嫌だろう?」 なるほど、と頷いてすぐに取り出せるように袋を身につけると、 自分たちのそれよりも大きな袋を5つ頼んだ。 使い魔たちの分である。 翼竜であるシルフィードと、ワルドのグリフォンには必要ないのではという気もしたが、 備えをしておくに越したことはない。 結果から先に言うと、袋のお世話になったのはヴェルダンデだけであった。 何しろモグラである。船酔い以前に周囲に土がない広い所が苦手らしい。 ただでさえ苦手な環境に初めて乗る船の振動である。気分を悪くしても仕方がない。 今はギーシュが介抱しているが、もう少ししたら変わってやったほうがいいかもしれない。 火蜥蜴のフレイムは酔いには無縁のようで、つい先ほどまでは甲板で周囲を見回していた。 ただ主人共々に代わり映えのない景色に飽きが来たらしい。キュルケについてどこかに行ってしまった。 タバサとシルフィードはいつもどおりで、身体を丸めた使い魔を枕にして本を読んでいる。 考えてみれば、空を飛ぶ翼竜とその主人である。この景色も見慣れたものなのだろう。 ブータについては、船酔い自体には問題はなかった。 星の海を往く大冒険艦の一員でもあった猫神にとって、空を飛ぶ船も海に浮かぶ船も変わらないらしい。 ただ何時になく上機嫌であったのか、気がつけばマストの一番上に登っていて船員たちを蒼白にした。 なにしろルイズはこの船に乗る時にマザリーニ枢機卿のお墨付きを見せている。 そのような地位の貴族の猫が怪我でもしたら一大事である。 子猫ならまだしもあの巨体だ、抱き上げてマストからおろすなぞ一苦労だし、 手を伸ばしたら嫌がられて甲板に落ちたなどというと目も当てられぬ。 眼下の混乱に気づかぬかのように目の前に止まった燕と睨めっこをしていた大猫は、 ややあって頷くとその身を宙に躍らせた。 船員たちの悲鳴や息を呑む音を気にも留めずに身体を捻り、勢いを殺して着地する。 訝しげに周囲を見回す大猫だったが、主の怒りの鉄拳を喰らって沈黙した。 心配をかけさせるんじゃないわよこの馬鹿猫。 「ルイズ、もう少しでアルビオンが見えるそうだ。 とはいっても目的地のスカボローまではもう少しかかるから、今のうちに休んでおいた方がいい」 「ああ、ありがとう、ワルド。 旅行も久しぶりだから、ついつい興奮してしまったのよ」 /*/ 大貴族にしては珍しく、ルイズは旅行というものに縁が薄い。 家族で出掛けるのはそれこそヴァリエール領の中だけであり、 それ以外は父と二人で出掛けるのが常だった。 母とエレオノールはいつも領地にとどまり、カトレアと共にルイズの帰りを待っていたものだった。 空を見上げ、ふと目を閉じる。 ルイズが幼く、何も知らず、自分だけの世界にいたあの頃。 自分で行かないと言った筈なのに、帰ってきたルイズを苛めるエレオノールが嫌いだった。 ちびルイズだけ良いわねぇと頬を引っ張るエレオノールをカトレアが宥め、 小さなルイズは優しいちい姉さまの胸に抱かれて、エレオノールに向かって舌を出す。 顔を赤くして怒るエレオノール。ちい姉さまがお茶を入れてくれて、ルイズに旅行の思い出を聞く。 幼い頃から何度も何度も繰り返したその儀式。 その儀式が終わったのは、エレオノールが魔法学院に入学するために屋敷を出る前の晩の事だった。 小さなルイズを部屋に招きいれた姉は言った。 これからは旅行に行くのは控えなさい、と。 少し前までなら一も二もなく頷いたその言葉ではあったが、 あの人から魔法の言葉を教えてもらったルイズは心の中でその言葉を唱えながら姉に言った。 なぜですか、と。 エレオノールはルイズを見つめると、その視線を窓に向けて口を開く。 「カトレアが悲しむからよ。一人だけ旅行に行けないって」 「……その言い方は、卑怯です」 「そうね、わたしもそう思うわ」 常になら怒り出すはずのその言葉に冷静に答えた姉を置いてルイズは自室に戻ると、 寝台に飛び込んですすり泣いた。 「――――ごめんなさい」 一人だけ屋敷にいればカトレアが悲しむ。 それは確かにそうだろう。だが今まではそんなことはなかった。 なぜか? エレオノールがいたからだ。 優しい姉がいたから、カトレアはそんな思いをしなくてすんだ。 「――――ごめんなさい、大姉さま。ごめんなさい――――」 自分だって旅行したかっただろうに、エレオノールは常にその機会をルイズに譲ってくれていた。 帰ってきたルイズに殊更絡んだのもその為だ。 ルイズがそれに気づかぬように、一人だけ旅行にいけたと罪悪感を抱かぬように。 カトレアが気づかぬように、姉に無理をさせていると知らなくてもいいように。 悪役をかって出て、ルイズに嫌われるのもカトレアの顰蹙をかうのも厭わずに妹たちを守ってくれていた。 なのに自分は何をしたのか、姉さまの優しさに気づかず、意地悪な人だとずっと思っていた。 あの時、言い方が卑怯だと言われた時、エレオノールはどんな表情でそれを聞いたのか。 どんな思いで妹の言葉を聞いたのか。 「ごめんなさい、大姉さま――――っ!」 一夜明け、真っ赤に泣きはらした瞳でルイズはエレオノールの前に立った。 今から魔法学院に赴く、しばらくの間は会うことが出来ない姉の前に立った。 ここで謝るのは簡単だ。だがそれは出来ない。なぜならここにはカトレアもいるのだから。 ここで謝るのは、今までたった一人で悪役を担ってきた姉の努力を否定することなのだから。 奥歯をかみ締め、心を殺す。ともすれば口を開きそうになる謝罪の言葉を押し殺す。 出来る筈だ、なぜならわたしはルイズ・ド・ラ・ヴァリエール。 誇り高いエレオノール・ド・ラ・ヴァリエールの妹なのだから。 「いってらっしゃいませ、エレオノール姉さま。 これからしばらくは苛められなくてすむと思うと寂しく思いますわ」 ルイズの言葉に周囲の使用人たちが強張り、父さえもが絶句する中で、 しかしエレオノールは鮮やかに笑った。 その瞳に光るものが見えたのは、それはきっと少女の錯覚なのだろう。 「生意気なことを言うじゃないの、ちびルイズ」 笑いながら妹に手を伸ばし、その頬をつまむ。 いつもよりも力の弱いそれに驚く間もなく姉の手が離れ、 その指に光る水滴に気づいたルイズは自らの頬に手をやった。 「まだまだね、泣き虫のちびルイズ。 ま、せいぜい頑張りなさい」 言い置いて、何かから逃げるかのように馬車に乗り込むエレオノール。 その肩が微かに震えているのに気づいたのは、間近にいたルイズだけだった。 /*/ 「君はいっつもお姉さんと魔法の才能を比べられて、デキが悪いなんて言われてた」 「事実だもの、仕方がないわね」 マリー・ガラント号の甲板で思い出話をするワルドに、ルイズは困ったように笑い返した。 自分がデキの悪いのは本当のことだ。 魔法では言わずもがな。貴族としての、人間としての心構えとしても同様だ。 ことにエレオノールに対しては、一度も勝てたことなどないと思っている。 自慢の彼女の姉。気高く美しいエレオノール姉さま。 アカデミーで、今もカトレアの病気を治す為の研究を続けている優しい姉。 何よりも研究を、つまりは妹を第一に考えるために結婚もせず、 業を煮やした婚約者たちが『もう限界』と去っていくにも関わらず自分を曲げない誇り高き女傑。 一度も面と向かって言ったことなどないけれど、ルイズは彼女を尊敬していた。 「でも僕は、それはずっと間違いだと思っていた。 確かに君は不器用で、失敗ばかりしていたけれど」 「意地悪ね」 ルイズが頬を膨らませた。 「違うんだルイズ。君は失敗ばかりしていたけれど、誰にもないオーラを放っていた。 魅力といってもいい。それは、きみが、他人にはない特別な力を持っているからさ。 僕だって並みのメイジじゃない。だからそれがわかる」 「まさか」 「まさかじゃない。例えば、きみの使い魔だが」 ぎくりとルイズが身を強張らせた。 「ブータのこと?」 「そうだ。ラ・ロシェールで、宿から桟橋まで走った時のことを憶えているだろう? きみの使い魔は、魔法衛視隊隊長の乗騎である僕のグリフォンより早く走ったんだ。 それもきみを乗せた状態で」 「そ、そうね」 ルイズの目が泳ぎ、落ち着かなくあたりを見回す。 これはやばい。非常にやばい。なんとかして話を変えるか打ち切らねば。 「誰もが持てる使い魔じゃない。きみはそれだけの力を持ったメイジなんだよ」 それは、まぁ、猫神ですから。 誰もがブータクラスの神を使い魔にしたら大変だ。世界が変わってしまう。 「きみは偉大なメイジになるだろう。 そう、始祖ブリミルのように、歴史に名を残すような、 素晴らしいメイジになるに違いない。僕はそう予感している」 ワルドは熱っぽい口調で、ルイズを見つめた。 「この任務が終わったら、僕と結婚しようルイズ」 「え……」 いきなりのプロポーズに、ルイズははっとした顔になった。 気を利かせたのか、船員たちが甲板からいなくなる。 いや、マストなどの陰に隠れて二人の様子を窺いだした。 「で、でも……」 「確かに、ずっとほったらかしだったことは謝るよ。 婚約者だなんて、言えた義理じゃない事は解っている。 でもルイズ。僕には君が必要なんだ」 真摯に見つめるワルドに、ルイズは胸の高鳴りを抑え切れなかった。 幼い頃からの憧れだったワルド。親同士の約束で婚約者となっていた筈の彼が、自分の意思でわたしを求めてくれている。 それは確かに嬉しいことではあった。 だが、とルイズは思う。 今の自分は、本当に彼に相応しいのかと。 彼に聞けば勿論だと言ってくれるだろう。ワルドは優しい。それこそ自分には勿体無いくらいに。 でも、他ならぬ自分自身がそれを認める気にはならない。 自分はまだ半人前で、ただ周囲の人間のやブータの力を借りているだけなのだから。 時間が欲しかった。 自分が一人前になるだけの時間が、ワルドに相応しいのだと自分でも思えるようになるまでの時間が。 「いいわよ、ワルド。 でも、結婚するのなら、一つだけ条件があるの」 「条件? いいとも、ルイズ。 きみの為なら何だってしてみせるよ」 ルイズは一度目を閉じると、心の中で尊敬する人物に詫びながら口を開いた。 「……わたしに先を越された形になる、 エレオノール姉さまの説得とご機嫌取り。よろしく頼むわね」 「なッ……!?」 ワルドは、ひどく狼狽した。 前に戻る 次に進む 目次
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キャラシートテンプレート A-DICガンパレード用のキャラシートテンプレートです。 名前: 年齢: 兵科【○○兵/○○兵】 根源力:2000 発言力:1000 ○原型 A性別:【】 B基本属性:【】 CA+B:【】 D副属性:【】 E負属性:【】 ○追加原設定 出自: 動機: コネクション: ○簡単な設定 ○原成功要素:配分比:要素数 かわいいところ:0%:00 秘密の部分:0%:00 痛く気にしているところ:0%:00 趣味:0%:00 象徴的な私物:0%:00 ○技能 【】【】【】 【】【】【】 ○一般絶技 【名称:タイミング:対象:代償:効果】 ○武器・防具 【武器名称:種別:重量:技能:射程:阻止線:貫徹力:攻撃修正:移動攻撃の不可:弾数】 【】 備考: 【防具名称:種別:重量:重量限界:速度:装甲:防御修正:攻撃修正】 【】 備考: 【乗物名称:種別:重量:重量限界:速度:装甲:防御修正:攻撃修正】 【】 備考: ○その他アイテム ○戦闘値 合計重量:00(軽荷状態〉 移動速度:×00 ステップ:00(80×移動速度) 全力移動:00(100×移動速度) キャラクターサンプル 名前:優しき戦車兵 年齢:14 兵科【人型戦車パイロット/決戦存在候補】 根源力:2000 発言力:350 ○原型 A性別:【男】女の子に見える B基本属性:【優しい】生活的で芯が強い CA+B:【男+優しい】線の細い人で荒事は不得意であるが、おそろしく繊細で勘が鋭い D副属性:【繊細】五感に優れる E負属性:【ひがんでる】表面上他人に合わせればいいと思っている ○追加原設定 出自:【実験体】 動機:【身代わり】 コネクション:【興味】速水厚志 ○簡単な設定 ○原成功要素:配分比:要素数 かわいいところ:20%:01 【童顔】 秘密の部分:30%:02 【陰の努力家】 【土壇場で強い】 痛く気にしているところ:20%:01 【異性に見える】 趣味:20%:01 【料理】 象徴的な私物:10%:01 【手作りのお弁当】 ○技能 【人型戦車操縦5】【無線5】【砲術5】【白兵戦5】 【開発5】【強運5】【同調5】【慈悲5】 ○一般絶技 【名称:タイミング:対象:代償:効果】 【キャスリング:本文:単体:停止2:[移動速度×5]m以内への攻撃の目標を自分に変更。1フェイズ1回】 【狙いをつける:本文:自身:なし:この手番に行う攻撃に+1000の攻撃修正】 【バックステップ:事前行動:地震:なし:[移動速度×5]m移動する。1回の手番に1回】 ○武器・防具 【武器名称:種別:重量:技能:射程:阻止線:貫徹力:攻撃修正:移動攻撃の不可:弾数】 【90mmQF:火砲(砲/人型):300:砲術:1500m:1:7:12000:不可:10】 備考: 【ジャベリンミサイル:火砲(ミサイル):100:射撃:2000m:1:5:4000:可:01】 備考: 【防具名称:種別:重量:重量限界:速度:装甲:防御修正:攻撃修正】 【互尊戦車兵型:ウォードレス:25:×2:×1:1:600:300】 備考:ヘリ・航空機を除く乗物を操縦している間、攻撃・防御に+1000の修正。 【乗物名称:種別:重量:重量限界:速度:装甲:防御修正:攻撃修正】 【士魂号M型“複座”練習機:乗物(人型戦車):1000:×16:×4:5:12000:3000】 備考:渡河可能。悪路の影響を受けない。 ○その他アイテム 【予備弾薬/90mmQF】【インナースーツ】【トイレパック】 【無線機】【軍服/制服】【作業服】 【○○の靴下】 ○戦闘値 合計重量:472(軽荷状態〉 移動速度:×8 ステップ:640(80×移動速度) 全力移動:800(100×移動速度)
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草案 楽曲 キュウコン:Cue -- (ユリス) 2014-10-25 21 27 28 草案 楽曲 なみのりピカチュウ&ライチュウ(アローラのすがた):コズミック・サーフィン -- (名無しさん) 2016-12-15 02 36 59 草案 楽曲 カクレオン:カムフラージュ 炎タイプのポケモン全般;ファイアークラッカー バリヤード:マッドピエロ オムナイトorカラマネロ クラブ メノクラゲorウツロイド コイル:コンピューターゲーム〝インベーダーのテーマ" スリープ:INSOMNIA 特性ふみん推奨 ウィンディorニョロボン:スネークマン・ショー -- (ユリス) 2016-12-15 20 03 46 草案 楽曲 ランクルス:増殖 分類「ぞうふくポケモン」なので -- (palasite) 2017-02-23 17 28 31 草案 楽曲 アブソル:ブリッジ・オーバー・トラブルド・ミュージック イワパレス:キャスタリア -- (ユリス) 2017-02-25 09 46 00 ギギギアル:TECHNOPOLIS フリージオorメタグロス:ソリッド・ステイト・サバイヴァ- -- (palasite) 2017-02-25 17 13 31 持ち物:こだわりスカーフ(1980年ワールドツアーのステージ衣装) -- (名無しさん) 2017-05-28 00 04 03 メンバー ・細野晴臣 フシギバナ:カントー御三家で統一するなら。雰囲気から。 余談だが、映画「アルセウス 超克の時空へ」の主題歌「心のアンテナ」の作曲も手掛けている。 ・高橋幸宏 カメックス:カントー御三家で統一するなら。 持ち物:各種メガネ(初期のライブでのサングラス) ・坂本龍一 リザードン:カントー御三家で統一するなら。知名度から。 -- (名無しさん) 2017-05-28 00 55 16 草案 楽曲 オドリドリ(めらめらスタイル):新舞踊 -- (ユリス) 2017-05-28 15 47 14 ・草案 アルバム オドリドリ(まいまいスタイル):イエロー・マジック・オーケストラ(※米国版。いわゆる「電線芸者」) モウカザル、ゴウカザル、バオップ:アフター・サーヴィス ジャケットの猿および、散開ライブの映像を使用した映画「A Y.M.O. FILM PROPAGANDA」のライブセットが炎上するラストシーンから -- (名無しさん) 2017-07-03 08 26 39 草案 楽曲 セレビィ、ユクシー、アグノム、エムリット:キャスタリア 曲名の由来が「精霊が身を投げて死んだ泉」なので -- (名無しさん) 2017-07-03 08 35 36 ・草案 アルバム ゼクロムorレシラム:テクノドン CDジャケットのふちやディスクが白と黒 メタグロス:テクノドン ノットYMO(「YMO」の文字の上にバツ印)のロゴを連想させる -- (名無しさん) 2017-08-08 00 07 04 草案 持ち物 オレンのみ:結成時のエピソードのみかんから。 こだわりスカーフ:ステージ衣装から ライブサポートメンバー ・松武秀樹 キノココ、キノガッサ、タマゲタケ:名字の響きから。 モンジャラ:モジュラーシンサセイザーのパッチケーブルに似てるか ・矢野顕子 オシャマリ:当時の髪型から ・渡辺香津美 キリンリキ:所属していたフュージョンバンド『KYLIN』(キリン)から ポリゴン:ライブアルバム『パブリック・プレッシャー』でギターソロがまるごとカットされたエピソードから -- (名無しさん) 2017-10-02 13 47 44 ライブサポートメンバー ・大村憲司 メブキジカ(はるのすがた):アルバム『春がいっぱい』から ・デヴィッド・パーマー アギルダー:サポートメンバーとして活動するためにABCを脱退したから -- (名無しさん) 2017-10-02 14 12 29 草案 メンバー ・細野晴臣 エンブオー:イッシュ御三家で統一するなら。『人形劇 三国志』のテーマソングを手掛けているから。 ・高橋幸宏 ジャローダ:イッシュ御三家で統一するなら。最初のソロアルバム『サラヴァ!』などヨーロッパ風の楽曲がみられるから ・坂本龍一 ダイケンキ:イッシュ御三家で統一するなら。 チゴラス:化石ポケで統一するなら。 -- (栗ようかん) 2017-10-23 14 10 29 草案 楽曲 イエロー・マジック・オーケストラ アクロバットが覚えられるポケモン全般:アクロバット -- (ユリス) 2019-08-11 11 03 40
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サンプル運転手:合計15点計算。 竜樹さん作 のちのちに80式装甲車装輪への乗り換えや WDの選択余地を残した感じです。 5点分は、前借分で返済が必要になります。 パワーソース:12 HP:30 POW:0 AGI:0 MOV:0 DEX:0 SEN:0 INT:0 MAG:0 士気:30 通信:10 ウォードレス操縦:0 戦車操縦:50 兼帯条件:世界ガンパレードであること。 ☑学生:学生は基本職である。 □基礎学科 :INT+10 └□理系 :INT+15 └□文系 :INT+15 □体育 :HP+20 └□体育系 :POW+15 └□運動系 :AGI+15 □率先 :AGI+10 □登下校 :MOV+10 □若さ :HP+20 ☑勉強 :(コマンド)次の行動まで自分自身の任意能力+20 兼帯条件:世界ガンパレードであること。 ☑第6世代クローン:幻獣エンジェル/アークエンジェル/プリシンパリティ ☑人間味 :士気30 □幻翼 :AGI+10 └□膂力 :POW+20 └□怪力 :POW+20 □回復力 :HP+20 └□自己再生 :HP+30 └□強靭化 :HP+30 □発言力 :MAG+10 └□政治力 :MAG+15 └□人気 :MAG+15 ☑︎死の視線 :(パッシブ)第5世代以前の人間を即死させる。 兼帯条件:世界ガンパレードであること。 ☑多目的結晶:多目的結晶は通信装備である。手首と首筋に付けた後天的寄生幻獣だった。 ☑結晶体 :通信+10 └□通信機能 :通信+20 └□制御機能 :通信+20 □ウォードレスコネクタ:ウォードレス操縦+20 └□ムダ毛処理 :ウォードレス操縦+15 └□ラバースプレー:ウォードレス操縦+15 □通信 :(コマンド)遠隔地に通信を行う。 兼帯条件:陸軍に仕官していること。 ☑戦車兵:戦車兵は戦車の操縦者である。 ☑操縦技術 :戦車操縦+10 └☑難解な操作 :戦車操縦+15 └☑絶妙な制御 :戦車操縦+15 ☑簡易整備 :戦車操縦+10 └□部品交換 :戦車操縦+15 └□応急措置 :戦車操縦+15 ☑戦車操縦:(パッシブ)戦車の能力、コマンドを使用できる。 □砲手:(パッシブ)戦車の保有する攻撃コマンドのダメージに+20 共通コマンド -移動 :(コマンド)MOV分の移動を行う。MOVが0なら10移動する。 コマンド -勉強 :(コマンド)次の行動まで自分自身の任意能力+20 以下 車両は別キャラクター パワーソース:3 兼帯条件:編成にあること ☑☑95式高機動車:95式高機動車は小型トラック扱いの車両である。 ☑車両移動:(コマンド)MOV100で移動する。五名のり。 └□軽装甲:車両移動はMOV−50、このターンダメージ20以下無効 └□貨物輸送:車両移動はMOV−50、このターンPOW200 └□機銃座:車両移動はMOV−50、車両移動の他、乗組員1の攻撃コマンドが一つ使える └□カモフラ:車両移動はMOV−50、このターン隠蔽200 共通コマンド -なし コマンド -車両移動:(コマンド)MOV100で移動する。五名のり。
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▼第10回定期演奏会 2010/11/7 第10回定期演奏会~みんなの音楽会2010~ 指揮:三上朋也 司会:坂本睦子 〔演奏メンバー 50名〕 ▼第1部 アップル・マーチ「アルルの女」よりファランドール歌劇「ローエングリン」よりエルザの大聖堂への行列 ▼第2部 ~サックス奏者 佐々木亜紀子氏を迎え~ チューバ独奏「エフィー組曲」よりマジック青春の輝き~アルトサキソフォンと吹奏楽のための~トゥルース ▼第3部 「龍馬伝」テーマ曲ど演歌えきすぷれす2YELL~エール~ハナミズキ刑事&アクションメドレーマンボNo.5追憶のテーマ ▼第9回定期演奏会 2009/11/8 第9回定期演奏会~みんなの音楽会2009~ 指揮:三上朋也 司会:坂本睦子 〔演奏メンバー 54名〕 ▼第1部 シンフォニックステージ レイディアント・マーチ海の歌交響的詩曲「走れメロス」 ▼第2部 ミュージカル&ポップスステージ 「コーラスライン」よりワン~君だけはライオンキング ブロードウェイセレクション「キャッツ」より メモリー負けないで手紙~拝啓 十五の君へ~キセキテキーラ ▼第8回定期演奏会 2008/11/16 第8回定期演奏会~みんなの音楽会2008~ 指揮:三上朋也 司会:坂本睦子 〔演奏メンバー 52名〕 ▼第1部 吹奏楽オリジナル グランド・マーチフニクリ・フニクラシンフォニア・ノビリッシマ ▼第2部 フォークソングステージ シンガーソングライター板橋かずゆきさんを迎えて ▼第3部 R35ポップスステージ 宇宙のファンタジーGSエクスプレスアニメ・メドレー翔べ!ガンダム ジャパニーズ・グラフィティXII銀河鉄道999&宇宙戦艦ヤマト ▼第7回定期演奏会 2007/11/18 第7回定期演奏会~みんなの音楽会2007~ 指揮:三上朋也 司会:坂本睦子 〔演奏メンバー 42名〕 ▼第1部 行進曲 威風堂々 第1番 op.39ジャパニーズ・グラフィティⅡアンパンマンのマーチ星条旗よ永遠なれ川の流れのように千の風になって ▼第2部 ディズニー映画特集 ディズニー・メドレーアンダー・ザ・シーパイレーツ・オブ・カリビアンサークル・オブ・ライフ美女と野獣 ▼第6回定期演奏会 2006/11/26 第6回定期演奏会~五所川原小学校合唱部を迎え~ 指揮:三上朋也 司会:坂本睦子 〔演奏メンバー 53名〕 ▼第1部 鷲の翼に歌劇『トゥーランドット』よりスターフライト序曲 ▼第2部 オーメンズ・オブ・ラブサムシング恋のカーニバル映画「ゲド戦記」テルーの唄ジャパニーズ・グラフィティIX いい日旅立ちスパニッシュ・フィーバー ▼第5回定期演奏会 2005/12/04 第5回定期演奏会~エリックミヤシロを迎え~ 司会:坂本睦子 〔演奏メンバー 74名〕 ▼第1部 音楽祭のプレリュードアルトサクソフォーンとバンドのための『バラード』アルメニアン・ダンスⅠ ▼第2部 ディズニー・ファンティリュージョン!ど演歌えきすぷれす『ロッキー』のテーマトワイライト・ハイウェイスタートレックのテーマ ▼第4回定期演奏会 2004/11/28 第4回定期演奏会 司会:坂本睦子 〔演奏メンバー 68名〕 ▼第1部 パンチネロ序曲風紋ヴェニスの謝肉祭による変奏曲ゴッドスピード! ▼第2部 『ウェスト・サイド・ストーリー』メドレーサウス・ランパート・ストリート・パレードサクソフォンとバンドのための『青春の輝き』冬のソナタより『はじめから今まで』GET IT ON ▼第3回定期演奏会 2003/10/05 第3回定期演奏会 司会:坂本睦子 〔演奏メンバー 66名〕 ▼第1部 序曲祝典~Fエリクソン主よ、人の望の喜びよ雪・月・花吹奏楽のための抒情的『祭』 ▼第2部 ハリウッド万歳イン・ザ・ムードサウンド・オブ・ミュージックコパカバーナ上を向いて歩こう『ロッキー』のテーマ ▼第2回定期演奏会 2002/11/03) 第2回定期演奏会 司会:坂本睦子 〔演奏メンバー 45名〕 ▼第1部 オーバー・ザ・ギャラクシー大草原の歌吹奏楽のための第二組曲~Gホルスト ▼第2部 ルパン三世のテーマ愛するデュークビタースィート・サンバディスコ’70sエンドレス・ラブサンチェスの子供たち ▼第1回定期演奏会 2001/11/25 第1回定期演奏会 〔演奏メンバー 43名〕 ▼第1部 アップルマーチ吹奏楽のためのインヴェンション第1番バンドのための民話吹奏楽のための第一組曲~Gホルスト ▼第2部 『TANK!』ホール・ニュー・ワールドディズニー・メドレーⅡ『千と千尋の神隠し』メドレー『トトロ』ファンタジーカーペンターズ・フォーエヴァー トップページ 当団紹介と募集要項 練習日程 過去の定期演奏会 活動の記録 交流掲示板 リンク集 団員用掲示板
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オーケストリオン オーケストリオン:フィールド オーケストリオン:討伐・討滅戦 オーケストリオン:レイド オーケストリオン:その他 オーケストリオン:シーズナル ダンジョン 001~010 オーケストリオン名 入手方法 取引条件 001 嵐の中の灯火 ~怪鳥巨塔 シリウス大灯台~ 製作 錬金術師 50★2 002 闇の抱擁 製作 錬金術師 30 003 魔大戦の傷跡 ~腐敗遺跡 古アムダプール市街~ 製作 錬金術師 50★2 004 漆黒の誓い ~惨劇霊殿 タムタラの墓所~ 製作 錬金術師 30 005 潮衝 製作 錬金術師 30 006 イマジネーション ~蒼天聖戦 魔科学研究所~ 製作 錬金術師 60 007 上り階段をくだれ ~星海観測 逆さの塔~ 製作 錬金術師 60★1 008 地平線の彼方 ~財宝伝説 ハルブレーカー・アイル~ IDドロップ 黒渦伝説 ハルブレーカー・アイル (Hard) 009 秘密坑道 ~氷結潜窟 スノークローク大氷壁~ IDドロップ 氷結潜窟 スノークローク大氷壁 010 万世の言葉 ~禁書回収 グブラ幻想図書館~ IDドロップ 禁書回収 グブラ幻想図書館 ダンジョン 011~020 オーケストリオン名 入手方法 取引条件 011 アンブレーカブル ~博物戦艦 フラクタル・コンティニアム IDドロップ 暴走戦艦 フラクタル・コンティニアム (Hard) 012 詫言の時 ~天竜宮殿 ソール・カイ~ IDドロップ 天竜宮殿 ソール・カイ 013 銀の涙 ~幻龍残骸 黙約の塔~ IDドロップ 幻龍残骸 黙約の塔 014 永遠の眠り ~霊峰踏破 ソーム・アル~ IDドロップ 霊峰踏破 ソーム・アル 015 地殻 ~峻厳渓谷 ゼルファトル~ クエスト報酬 Lv60 メインクエスト天険の谷へ 016 漆黒のエッダ DDドロップ 埋もれた財宝G2 017 笛吹大魔王 DD B100攻略で開放 ゲルモラ土器片1個で交換 018 トイレに行けない夜 DD B150攻略で開放 ゲルモラ土器片5個で交換 019 死亡報告 DD B200攻略で開放 ゲルモラ土器片10個で交換 020 聖座 ~強硬突入 イシュガルド教皇庁~ IDドロップ 強硬突入 イシュガルド教皇庁 ダンジョン 021~030 オーケストリオン名 入手方法 取引条件 021 022 023 024 025 026 027 028 029 030
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「……それで?」 「それでと言いましても、これで終わりですわ」 不機嫌そうにこちらを見つめるマザリーニ枢機卿の視線を受け、 アンリエッタは居心地悪そうに身体を揺らした。 魔法学院にある客室の一つである。 「殿下、殿下。私は尋ねましたな、 アルビオンの貴族たちにつけいられる隙はございませんかと。 その時の殿下のお答え、まさか忘れたなどとは申されませんな?」 「え、ええ。勿論です」 「では、ワルド子爵に命じられたと言う任務は何ですかな」 なぜこうなったのだろう。 アンリエッタは自問した。 ルイズの部屋を出た後、魔法衛士隊のワルド子爵を召し出してルイズたちへの同行を要請した。 それは間違っていない筈だ。 ルイズたちだけでは心配だったし、ワルドはルイズとも浅からぬ縁である。 助っ人としては上出来だと自画自賛していたのだ。 なのに、なぜ自分はマザリーニに問い質されているのだろう。 「殿下。 最初からこの鳥の骨めにそのことを打ち明けられておられれば、 ワルド子爵のみにアルビオンに向かっていただければそれですんだのです。 殿下のなさったことは、徒にミス・ヴァリエールとそのご友人を危険に晒しただけと心得られよ」 言葉もなく身を縮ませる主君を見やり、 マザリーニはこの度の任務に従事すると言う面々に関する記憶を頭の隅から掘り出した。 魔法学院に行幸するに当たり、教師と生徒の大まかな情報は調べ上げてある。 トライアングルメイジであるキュルケとタバサは戦力として申し分ないし、 ギーシュもドットではあるがその魔法は戦闘向きだと聞いている。 魔法が使えないルイズは不安材料であるが、彼女を欠いてはキュルケやタバサが参加する名分が立たない。 二人のトライアングルメイジの助力が得られるならば多少の不安は甘受すべきだった。 してみると後は各人の政治的背景だけか。 ルイズ及びギーシュの両名ならばまぁよかろう。 トリステインの貴族でもあるし、王女の命を受けても問題はない。 キュルケもよしとしよう。ゲルマニアの貴族であるが、ツェルプストーとヴァリエールの仲の悪さは有名だ。 ルイズへの対抗心から志願したと言えば大問題にはなるまい。 問題はもう一人、タバサと呼ばれる少女である。 雪風のタバサ、その本名をシャルロット・エレーヌ・オルレアンと言うガリアの王族であり、 世が世なればアンリエッタ同様、一国の姫として君臨すべき存在でもあった。 「で、では、改めてワルド子爵だけに……」 「それこそまさかです。 一度口に出した言葉はもはや口には戻りません。 まして王族の言葉なればそれは絶対。万難を排してでも実現させねばならぬものです。 殿下、ご自身の言葉の重さ、まさか理解されておらぬとは仰りませぬな?」 アンリエッタの言葉を軽くいなしながら思考を進める。 現王ジョゼフ派にして見れば彼女は目の上のたんこぶであり、 出来ればこの世から消えて欲しいと願っている存在でもある。 だからこの任務で死亡したとしても問題はあるまい。 では今も尚ガリアに残るオルレアン派とでも言うべき貴族たちにして見ればどうか。 もしこの任務でタバサが死ねば、その一事を持ってトリステインへの宣戦布告の大義名分となすかも知れぬ。 「そもそもですな、殿下。 ワルド子爵は魔法衛士隊グリフォン隊の隊長であり殿下の近衛であります。 その隊長が何も言わずに居なくなれば、どれだけの混乱が起こると思うのです。 それを殿下は誰にも秘密にせよとワルド子爵に仰られた。 子爵が混乱しつつも私に相談しなかったら、 彼には職場放棄あるいは間者の疑惑がかかっていたかもしれぬのですぞ」 言いながらも、その手は一時も止まらずに幾つかの書類を作っている。 ワルドへの特別任務を命じる書状、ルイズへの書状。 そしてガリア現王ジョゼフ派への密書。 王女の任務には一言も触れず、ただ学院に居たタバサと言うガリアからの留学生がアルビオンに向かったと言うことだけを記す。 もし何か不具合があっても、ジョゼフ派がそれを知っていて見過ごしたとなれば、 オルレアン派の怒りはトリステインではなくジョゼフ派に向かう筈だからである。 あるいはそれを契機に対アルビオン貴族軍の同盟をガリアと結ぶことが出来るかも知れぬ。 打てる手を打ちながら、マザリーニは胸中で密かに悪態をついた。 先帝に拾われる前、街中で無頼を気取って過ごしていた時の様な口ぶりで。 ――――これも政治か。くそったれ。 子供の犠牲を前提においた政治なんぞ、くそったれだ。 もっとも、それしか出来ぬ自分が一番くそったれだがな。 /*/ その頃、シャルロット・エレーヌ・オルレアンこと雪風のタバサは自分の得物の手入れに余念がなかった。 荷作りは既に済んでいる ガリア北花壇警護騎士団として秘密任務に従事していた彼女には、 常日頃から荷物を纏めておく習慣があったからである。 「なぁ、さっきの姫さんの言ったこと、まだ気にしてんのかい?」 「気にしてない」 少女以外誰も居ない筈の部屋に声が生じた。 タバサは一瞬驚いたものの、その声に聞き覚えがあると思い出すと、 机の上に投げ出されたナイフに視線を向けてそっけなく言い返した。 “地下水”と呼ばれたそれは、紆余曲折を経てタバサの所有物となったインテリジェンスナイフである。 「あー、なんか顔に見覚えがあると言われて、動揺してたな」 「お、解るのかい、デルフの兄貴」 「おお、俺の力の源泉は使い手の心の震えだからな。使い手の心の機微に詳しくなけりゃあやってられねぇよ」 「さすがだねぇ、戦闘から恋の相談までなんでもござれってかい」 武器たちの話は止まらない。 そもそも食事も睡眠も必要なく、疲労すら憶えない彼らにとっての暇潰しはお喋りだけなのである。 実は地下水がタバサの元へやってきて一番喜んだのがこれであった。 自分の退屈を理解し、お喋りにも嫌な顔一つせずに付き合ってくれる存在に出会えるとは思わなかったのだそうだ。 操る人間を変えながらガリアからトリステインまでやってきた甲斐があったとしきりに喜んでいた。 なにしろ相手も自分と同じ喋る武器で、記憶を一部失っているとはいえ自分よりも永い間存在して来た先輩である。 デルフを兄と呼ぶようになるのに時間はかからなかった。 「ま、それはそれとして。姫さんのアレな、多分、オルレアン公のことだぜ」 「……父さま?」 首を傾げる。てっきりガリア王ジョゼフの娘であるイザベラの事だと思っていたのに。 そう言うと、地下水はけけけとおかしそうに笑った。 「イザベラは、ガリアから外に出たことねぇ筈だからよ、あの姫さんだって会ったことねぇと思うぜ。 オルレアン公はその逆で、先王の名代でいろんな国の式典に出てたからよ、 姫さんもその時に見たんじゃねぇのか?」 そう、とタバサは呟いて鏡を見た。 「似ている……そう、わたしと父さまは似ているのね……?」 幸せそうに呟いて、少女はそっと頬を緩めた。 /*/ 出発は明日と決まったが、だからと言って無断で出発して良いわけもない。 他の所はどうか知らないが、ルイズの家には規則を破るのが大嫌いなお方が居るのである。 任務とはいえ無断で学校を休んで戦地に向かったなどということが知れれば、 生きて帰ってこれても半殺しの目に遭うかもしれない。 それに、もう一つ懸念事項もあることだし。 そんな訳で、ルイズはオールド・オスマンにその旨の許可を取りに行くことにした。 夜半にも拘らずオスマン氏は未だ仕事中であり、ルイズの申請に快く許可をくれた。 ミス・ロングビルの後任の秘書は未だ決まっていない。 彼女がいつ帰ってきてもいいようにだとオスマンは言うが、 その実、後任として入った秘書が彼の痴漢行為に三日と耐えれないというのが真実らしい。 大猫に跨って自分の部屋に帰ってくると、扉の前に佇む人影が目に入った。 僧侶のような丸い帽子を被り、灰色の長衣に身を包んだ痩せぎすの男である。 「……マザリーニ枢機卿?」 「初めましてかな、ミス・ヴァリエール」 立ち話もなんだしと部屋に招きいれ、椅子を勧めた。 卑しくもトリステインの枢機卿がわざわざ出向いたのだ。 それ相応の理由というものがあるのだろう。廊下で話していい話題でないことは確かだった。 「さて、夜も遅いし、単刀直入に言わせて貰おうミス・ヴァリエール。 君が……ああ、いや、君たちが、だな。姫殿下より拝命した任務についてだ」 「失礼ですが、マザリーニ枢機卿。閣下はそれをどこからお聞きになりましたか?」 うってかわって醒めた声で尋ねたルイズに、マザリーニは逆に愉快そうに頬を緩めた。 彼はルイズのこの反応は当然だと思うし、それすら出来ぬ者に任務を任そうとも思わない。 問題は、それを当然と思う者が彼の部下の中にすら少ないということだ。 「無論、姫殿下からだ。 殿下は君たちだけにこの任務を与えるのが心配になったようでね。 魔法衛士隊の中から一人、君たちに同行するよう命じられたのだよ」 「聞いておりませんが」 「そうだろうな」 軽く流すと、マザリーニは一通の書状を取り出した。 封はされていない。ルイズに渡して中を確認するように言う。 それは枢機卿であるマザリーニの名において秘密任務を命じる旨が書かれており、 同時に任務遂行に必要な資材の徴発権を与える旨が記されていた。 「解ってくれると思うが、この件については姫殿下は何も知らない。 君を選んだのも、命令を下したのも、すべて私のしたことだ」 「……何か問題が起こった時、姫さまの楯になるおつもりですか」 書状を確認して懐にしまうとルイズは尋ねたが、マザリーニは軽く眉を上げることでそれに答えた。 「なんのことかな、ミス・ヴァリエール。この歳になると耳が遠くてね」 「失礼しました、マザリーニ枢機卿。 もしよろしければ、有能な水の使い手を紹介いたしますが」 「それはありがたい。私の知り合いに水の使い手は少なくてね。 その代わりといっては何だが、火の使い手には少々心当たりがあるのだが」 言いながら、袋に包まれた品物を取り出して机の上に置く。 その時に沈痛な表情がその顔を過ぎるのをルイズは気づかなかったが、 大猫はそれに気がついてニャァと鳴いた。 あれは、シオネに毒薬を渡した男と同じ表情だ 「その火の使い手が作った秘薬でね。 最近ゲルマニアで開発されたばかりの物だ。 人間など簡単に粉々に出来る爆発を生み出せる。 使い方はこの紙に書いてあるよ」 ルイズが息を呑み、微かに顔を蒼褪めさせながらそれを見た。 この任務の危険性は承知していた。 承知していたつもりだった。 怪我をすることも、死ぬかもしれないことも知っていた。 だがこんな風に、簡単に人を殺せるモノを渡されるとは思っていなかった。 「戦で出る損害についてだが、 私は死亡よりは行方不明の方が望みがあると考える。 行方不明だった者が数年経って帰還した例など有り触れているからね」 言いながら、マザリーニは胸中で自らを罵り続けた。 姫殿下の御為にと言えば聞こえはいいが、その実、自分が彼女に勧めているのは自殺だ。 もし殺されそうになったら、その前に自分で死ねと言っているのだ。 まだ若い、自分の三分の一も生きているか解らない少女に、 生の意味もまだ知らぬ少女にその命を自ら散らせと言っているのだ。 王女に仮初の希望をもたらすために死を選べと言っているのだ。 そして何より許せないのは、 ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールに関する調査が真実ならば、 彼女はそれを拒まないだろうことを確信している自分の性根の卑しさについてだった。 「それは……確かに。 最新式の秘薬ですか。随分と頼もしいことですね」 「許しは乞わんよ、ミス・ヴァリエール」 恐怖を抑えてルイズは笑い、マザリーニの苦悩はまた深くなった。 泣いてくれれば、罵ってくれれば、憎んでくれれば、 彼は自分を誤魔化す事も出来ただろう。 だがルイズはそれをせず、ただ笑って受け入れただけだった。 それを僥倖とは思わなかった。 自らに罪がないなどと思うことなど出来なかった 先帝の死後、自らの手を汚してでもこの国を支え続けた男の誇りがそれを許さなかった。 彼に出来たのはただいつもの様に告げることだけだった。 「だが、後悔はさせんつもりだ」 「それで充分ですわ」 ルイズはそっと目を伏せた。 ああ、ここにも貴族が一人居た。 自らを悪に任じても、それでも誰かの為に力を尽くす者が居た。 ならば自分はそれでいい。 それだけで、自分は死地へと行けるだろう。 だが、仲間たちまでそれにつき合わせることもあるまい。 「もう一つだけ約束していただけますか、マザリーニ枢機卿。 もしもタバサとキュルケとギーシュとわたしが死ぬことも許されず捕虜になった場合ですが」 みなまで聞かずに、いいだろうとマザリーニは言った。 捕虜の引渡しとなればどのような要求がくるか解ったものではない。 だがそれがなんだと彼は思った。 目の前の小さな貴族のためならどんなことでもしてやるつもりだった。 「順番は言った通りでいいのかね?」 「はい。タバサはトリステイン人でもゲルマニア人でもありませんし。 キュルケはトリステイン人ではありません。 ギーシュはトリステイン人ですがわたしに巻き込まれたようなものですから」 その言葉に、マザリーニは微かに胸を押さえた。 ガリアとの関係を考慮すればタバサを一番にしているのは好ましいと、 少しでも思った自分が許せなかった。 「いいだろう。必ず助けてやる。 ミス・ヴァリエール。君と、君の仲間たちが生き残ったならば、 どんな手を使ってでも助け出してやる。 これは約束だ。始祖ブリミルに誓って果たされるべき約束だ」 ルイズは嬉しそうに頭を下げた。 彼女は今までマザリーニのことをよくは知らなかった。 平民の血も混じっていると言う噂のある彼の風評はお世辞にもいいものとは言えず、 マリアンヌ大后の後ろ盾を良いことに国政を操る奸雄だというモノが殆どだった。 だが、そんな噂など全て嘘だった。 ルイズはずっとずっと昔にあの人から聞いた言葉を思い出した。 世界は嘘に満ちている。最後に残るものこそが真実だ。 「マザリーニ枢機卿。魔法が使えないわたしは貴族として半人前ですが」 そして、ルイズは華やかに顔をほころばせて笑った。 「あなたは、本当に貴族らしいと思いますわ」 面と向かって言われたマザリーニは我知らず赤面する自分を自覚した。 今まで、そんなことを言われたことなど一度として無かったのだから。 退去する旨を伝えて席を立ち、扉の前で足元に視線を移す。 門番のようにそこに座っている大猫を見やると口を開いた。 「ミス・ヴァリエール。確か、あなたの姉のカトレア殿は動物がお好きだと聞いていたが」 「ええ、その通りですわ」 「この大猫、あなたの使い魔をお見せすれば、カトレア殿はたいそうお喜びになると思うのだが、どうだろう」 最後にそう言い残し、未だ耳の赤みが抜けぬ枢機卿は部屋を辞した。 それを見送ったルイズはブータと顔を見合わせて苦笑する。 「なんとも不器用な男だな」 髯を震わせて大猫が言った。 最後の言葉に隠されたマザリーニの真意を読み取れぬほど彼らは鈍感ではなかった。 すなわち――――“必ず生きて帰れ” 前に戻る 次に進む 目次
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メニュー>サポートクラス>プリーチャー>ガードオーラ ☆3 ダメージを頻繁には受けないが、いざ受けると耐え切れなさそうなときに、すなわちメイジやシーフの取得に向いている。 回避型の保険としてはそこそこの性能。プロテクションと重ねれば10d以上軽減できるようになり、強打にも生存の目が出てくるだろう。 二度三度と被弾するようなら、アイアンクラッドやトリックステップのほうを見たほうがいいだろうが。 -- 名無しさん (2014-10-05 20 03 06) 名前 コメント